第6回:イベントの企画案、100個出してみて?AIとブレストする楽しさ

これまでの記事では、会議録や研修報告書など「事務作業の時短術」を中心にお伝えしてきました。今回は少し視点を変えて、デジタルアシスタント(AI)と一緒にワクワクするアイデアを膨らませる、クリエイティブで楽しい使い方をご紹介します。


障害福祉の現場において、「就労継続支援B型」は基本的に「働くこと」がメインとなるため、純粋なレクリエーションや行事を行うことは制度上難しくなっています。一方で「生活介護」においては、日中活動の一環として、皆で楽しむ行事やレクがとても大切な意味を持ちます。

しかし、毎月のイベントを考えるのは意外と大変です。「いつも同じ内容になってしまう」「マンネリ化を防ぎたいけれど、ゼロから考える時間がない……」と頭を悩ませている生活介護主任、看護職員、生活支援員の方も多いのではないでしょうか。

ここで、文句一つ言わずに無限にアイデアを出してくれる「最高の壁打ち相手」、AIの出番です。


AIに「現場のリアル」をそのまま伝える

AIに「生活介護のイベント案を出して」とだけ伝えると、どこかで聞いたような一般的な答えしか返ってきません。AIの力を120%引き出すコツは、「事業所のリアルな状況や条件」を、そのまま条件として入力してしまうことです。

例えば、事業所内で過ごす午前中の90分間、新しい企画を考えたい時。AIにこんな風にお願いしてみます。

【AIへの入力例】 あなたは生活介護事業所の優秀なイベントプランナーです。以下の条件で、午前中の90分間で楽しめる室内レクリエーションのアイデアを、まずは幅広く20個出してください。

  • 対象者: 20代〜70代と幅広く、障害支援区分3〜5(自閉症、知的障害など)の方が通所されています。

  • 好きなこと: カラオケはいつも大盛り上がり。オセロゲームが得意な方も多いです。

  • 条件: 衛生上の理由で鍋料理などはNG。ホットプレートを使った焼きそば作りや、お菓子のアレンジ、ポップコーン作りなどは実績があり、皆で楽しめます。

このように、年齢層、特性、これまでの成功体験、そして「衛生上のNGルール」まで具体的に伝えます。するとAIは、

  • 「カラオケ好きを活かして、昭和〜令和の『イントロクイズ大会』はいかがでしょう?」

  • 「オセロの応用で、段ボールを使った『巨大オセロひっくり返しゲーム(チーム戦)』はどうですか?」

  • 「ホットプレートを活用して、生地から作る『オリジナル・ミニどら焼きのデコレーション大会』も安全で楽しいですよ」

といった具合に、現場の状況にぴったり合った、実現可能性の高いアイデアを次々と提案してくれます。


「100個出して!」という無茶振りもOK

AIの強みは「疲れないこと」です。人間は5〜10個アイデアを出すと脳が疲れてしまいますが、AIには「今の条件で、さらに別のアイデアを100個出して!」という無茶振りも可能です。

冬の雪遊びやチューブ滑り、お花見、神社や公園への散歩、科学館見学といった「外出レク」の新しい行き先を探したい時も、「今の季節で行ける、近隣の外出アイデアを50個出して」と頼めば、一瞬でリストアップしてくれます。

100個の中には「それは無理だよ!」という突拍子もない案も含まれますが、それで良いのです。その突拍子もない案が刺激となって、「その案は無理だけど、少しアレンジすれば〇〇さんにピッタリかも!」と、人間の新しい発想を引き出してくれるからです。



公認心理師の視点:選んで、形にするのは「人間」

AIが100個のアイデアを出してくれても、それをそのまま実行するわけではありません。

通所されている方々一人ひとりの顔を思い浮かべ、「今の雰囲気ならこれが合いそう」「この企画なら、〇〇さんが大活躍して自信に繋がりそうだな」と、AIのアイデアを取捨選択し、現場に合わせて温かい血を通わせるのは、人間にしかできない専門的な仕事です。

AIの圧倒的なスピードを利用して「考える土台」を作り、私たちは「通所されているみんなの笑顔のために、心を込めて選ぶ」ことに時間を使う。

明日のミーティングの前に、ぜひAIとの「5分間の楽しいブレスト」を試してみてくださいね。

Hidefumi Kikuchi/CPP

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